あの激戦を振り返らずに終わるのはもったいない!1試合にドラマが詰まっていたんだ!キエッリーニ、ジョルジーニョ、バレッラ、キエーザらがドラマを作ったイタリア代表のベストバウトを解説する!
イタリアの戦術、システム
今大会のイタリアはチームとして大会で最もオーガナイズされた組織だ。基本に忠実ではあるが、相手をサイドに追い込むハイプレスと、ブロックを作って守り切るリトリートの使い分けが秀逸だ。ハイプレスも4-3-3のままはめこみにいくタイプと4-2-3-1気味になり、インサイドハーフが場合によって飛び出る2パターンも用意している。
そしてイタリアの素晴らしいところはどの選手が出てもこの戦術を遂行できることだ。ナショナルチームのレベルでこれだけ戦術を浸透させているのは流石のマンチーニといったところだろう。
高い戦術レベルに加えてイタリアならではのメンタリティをしっかりと受け継いでいる。守備の時間が長くても決してストレスに感じることもない。自分たちの得意な型をしっかりと相手にぶつけることができていおり、大会を通して見事な横綱相撲を見せ続けている。

今大会のイタリアを最も苦しめたのはスペイン代表で間違い無いだろう。スペイン代表は対イタリアとしてダニ・オルモの偽9番システムをとった。ダニ・オルモがフォワードの位置を取るだけでなく、頻繁に中盤まで降りていき、攻撃を促進させる。
前半は全くダニ・オルモを捕まえることはできなかった。キエッリーニとボヌッチというイタリアの2枚看板のCBと真っ向から勝負する気はなかったのだ。
ダニ・オルモに加えてぺドリを捕まえるのにも予想通り非常に苦しんだ。ぺドリを潰すためにはサポート役のセルヒオ・ブスケツも同時に潰す必要があり、イタリアの新たな至宝バレッラはピッチを走り回ることになり汗をかいた。守備のケアに意識を割かれたヴェラッティは自身の強みを見せることなく、後半早々に交代してしまう。
おそらくこの試合イタリアには様々な想定外の要因があった。一つは先に述べたように、ダニ・オルモの偽9番システム。2つ目は隔離措置で本大会に合流が遅れたはずのセルヒオ・ブスケツのゲームコントロールが凄すぎたこと。3つ目はスペインのトランジションが想像以上だったことだ。
しかしアッズーリは決して焦ることはなかった。守備の時間が今まで以上に長くなっても、「かかってこいよ」と言わんばかりの徹底抗戦ぶりを見せる。逆に奪った際には冷静に前に運び、鋭いカウンターを放つ。その際もインモービレやインシーニエらの熟練のストライカーが絶妙な駆け引きで相手DFを釣る。
イタリア代表の先制点、キエーザというMr.理不尽が見事なゴールを叩き込んだ。イタリアにはキエーザという強大な槍がある。この得点の裏にはインモービレの巧みなランニングあったことも忘れてはいけない。今大会イタリア代表の中盤の選手がゴールを決めることができているのは前線の巧みな駆け引きあってのものだ。
今のイタリア代表には攻守においてこれといった隙は見つからない。公式戦30無敗を誇っているイタリア代表を止めるのは果たしてどのチームだろうか。
PK戦はドラマしかなかった
イタリア代表のPK戦には多くの切り取られるべきシーンがあった。
まずはコイントスの場面から。キエッリーニの謎のハイテンションとジョルディ・アルバの冷たい反応のギャップに驚かなかった人はいない。実はこの場面、コイントスで審判が「青が出たらスペインサイドでPKを蹴る、赤が出たらイタリアサイドでPKを蹴る」という紛らわしいことをしたため、キエッリーニが間違ったジョルディ・アルバを「違うよ〜アルバ〜!はっはっは」みたいな感じで絡んだのだ。
推測でしかないが、この時点でイタリア代表に雰囲気は傾いていたのかもしれない。イタリア代表には少なくともスペインよりもリラックスした空気が流れていたに違いない。ロカテッリがイタリア代表ひとりめでPKを外した際にも、イタリアにはそこまで悲観的な雰囲気は流れてなかった。
ベルナルデスキとベロッティは魂でPKをねじ込んだ。ボヌッチもめちゃくちゃ駆け引きがうまかった。対するスペイン代表もティアゴはめちゃくちゃ上手かった。個人的にはスペインがPKを制するのではないかと予想していた。正直スペイン代表の方がPKうまそうな選手が多そう。
後攻のスペイン代表4人目は、モラタ。この日、途中出場でピッチに立ってから印象的な活躍も見せ値千金の同点弾を決めたスペイン代表の数少ないのワールドクラスのストライカーの一人だ。けれどもモラタのシュートはドンナルンマが見事に止めた。彼のふてぶてしさがこんなにも頼もしく思える日が来るとは。
迎えたイタリア5人目のキッカーはジョルジーニョだ。独特な助走で相手GKのタイミングをずらし、ボールを空いたゴールに流し込むシュートはまさに職人芸。チェルシーでもPKキッカーを務める色気ムンムンのジョルジーニョであるが、チェルシー並びにプレミアリーグファンはこう思ったのでは。
ジョルジーニョで大丈夫か?
というのも今シーズンのチェルシーでジョルジーニョはここぞという場面でPKを外してきた。相手ゴールキーパーにも研究されているパターンが多い。
不安なシーンが頭をよぎる中、ジョルジーニョはジョルジーニョだった。いつも通りの助走で、名手ウナイ・シモンを揺さぶり空いたゴールのスペースにボールを流し込んだのだ。全てを飲み込んだあの瞬間は、何にも言えない美しさをはらんでいた。
終わりに
僕がこの記事に違うタイトルをつけるのであればこんな感じだろう。
あのイタリアが帰ってきた!アッズーリの復活!
国際舞台でイタリアが活躍している姿は本当に嬉しい。ユーロやW杯はイタリアが強くないと盛り上がらないぜ。彼らならではチームの味はどの国にも出せないのだから
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スペイン視点でも記事を書いたのでぜひ見てほしいです。リンクは下からどうぞ!
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