ユーロでこの2チームが対戦するのは実に9年ぶり。ユーロ2012の決勝で当時無敵艦隊でティキタカ全盛のスペイン代表が4-0でイタリアを屠った。もはやユーロのクラシコとなったこのカードを振り返る。
機能したゼロトップシステム
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今回のスペイン代表のサプライズとなったのは、ダニ・オルモのサプライズ起用。ルイス・エンリケ監督はユーロ予選からダニ・オルモに信頼を寄せており、ドイツの地で成長を積む若武者は見事にその期待に応えネーションズリーグでも決勝弾を挙げていた。
ただ本戦で一度も試していなかったダニ・オルモのゼロトップとして起用するのはイタリアの意表をつく形。対イタリア相手に準備していた策だったのだろう。
前半頭からダニ・オルモは中盤まで降りていき、ボールを配球。前半時点ではイタリア代表は降りていくダニ・オルモへのマークの受け渡しがうまくいかず、常に後手を踏む対応に。ダニ・オルモはヒールフリックを上手く織り交ぜながら、スピードと突破力あふれる両ウイング、ぺドリらと連携しペナルティボックスへ侵入。
ぺドリがジョルジーニョの脇を突いてボールを前進させると最前線でダニ・オルモがセンターバックと駆け引き。裏を抜ける素振りやライン間でもらう動きをミックスし、両ウイングがフィニッシュを狙うという明確な意図がスペインから感じられた。
この日のゼロトップについてルイス・エンリケ監督は以下のように述べている。
ダニ・オルモが足元もあり、インテリジェンスもあり、ライン間でボールをキープすることができる選手であると理解していた。
ベルギー戦でキエッリーニとボヌッチを見て彼らがルカクを抑えていたので、そのポイントで戦うことを避けたかったからダニ・オルモを偽9番として起用した。
中盤で4vs3を作れば守備に定評のあるイタリアもボールを奪うことは困難であると考えた。
スペイン代表は勝利に値するほどのパフォーマンスを見せた。前半のスペイン代表のトランジションは素晴らしいものがあったし、終始ディフェンスラインも落ち着いていた。キエーザのアンタッチャブルなゴールも不運だったが、試合を通してゲームをコントロールしていたのは明らかにスペイン代表だった。
ユーロの準決勝イタリア戦にて「なぜダニ・オルモの”偽9番”を使ったのか?」の問いに対してのルイスエンリケの回答。 pic.twitter.com/fYrYiJYcY6
— Jun Takada / 高田 純 (@ney10jun) July 7, 2021
スペインの未来
この試合を見ていてスペイン代表の将来を明るく捉えた人も多いのでは無いだろうか。ぺドリとダニ・オルモという新たなクラックが誕生したユーロ2020はスペインにとって素晴らしい出来事だったに違いない。
ぺドリに至っては18歳にしてユーロ全試合で先発、合計プレー時間も600分を超えるなど完全にチームの中心となっている。ぺドリは決してゴールやアシストの数が多い選手ではないが、フィニッシュまで水をせっせと運んでくれる選手だ。味方がプレーしやすくする環境を整えながらチャンスメイクすることに非常に長けている。
スペインの次なる国際舞台は2022年カタールW杯だ。伸び代たっぷりのパウ・トレースやフェラン・トーレスなどの新世代も育ってきている。マルコス・ジョレンテはさらに大化けしそうなくらい高いポテンシャルを持っており、スペイン代表でのインサイドハーフ起用も見てみたい。そして秘密兵器アダマ・トラオレのスペイン代表との融合もロマンが溢れる。
今大会で見せたスペイン代表は今までのスタイルを変化させたものだった。サイドアタッカーはパスワークに絡む流動的な選手というわけではなく、縦で勝負できるスピード豊かなウインガーだ。ダニ・オルモもライプツィヒで世界最高の縦へのスピードを誇るサッカーで活躍している。
今までイニエスタやチャビが攻撃のスピードアップ。彼らは効果的な縦パスでチームに縦の速さをもたらしていた。
これからのスペイン代表はイニエスタはいないが、ぺドリとダニ・オルモがいる。彼らは稀代のプレーメーカーに通じるものがあり、パスで攻撃を促進させられる。加えて今のスペイン代表にはトラオレらといったドリブルでスピードアップさせられる選手が数多く揃っている。
そして何よりメッシの正当後継者アンス・ファティもいる。スペインの新たなサッカースタイルはもう始まっている。エンリケはこの大会でマイル・ストーンを置いた。1年半後のW杯でのスペイン代表の活躍を心から楽しみにしている
終わりに
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