現代サッカーを象徴するストーミングをクラブ規模のみならず世界レベルで磨き続ける新興勢力レッドブルグループ。欧州でも近年目覚ましい成果を上げている。RBライプツィヒは昨季欧州CLベスト4を達成。レッドブル・ザルツブルクは現在リーグ6連覇中。短期間で成長を遂げるレッドブルグループとは一体何なのかを解説。
基本情報
レッドブル社はもともとオーストリアの飲料メーカーであり、そこから世界規模に成長。看板商品であるエナジードリンクであるレッドブルは年間75億缶売れており、世界で最も売れているエナジードリンクである。
レッドブル社はかねてからプロモーション活動も活発であり、プロモーションとして多くのスポーツ企業に金銭的な援助を行なってきた。現在はF1やサッカーを中心にプロモーションを行い、スポーツ面でも優秀な成績を収めることに成功している。
レッドブル・グループのチーム
RBライプツィヒ
近年欧州で最も成功しているクラブの一つでもあるドイツ、ブンデスリーガに所属しているクラブ。2009年にクラブの前身であるSSVマルクランシュタットがレッドブルグループに買収されて急激に成長を遂げた。破竹の勢いでリーグを駆け上り、5部からわずか6年でドイツ1部に昇格。16-17シーズンにブンデスリーガ初挑戦ながら2位と大躍進。
そしてついに昨シーズンにはCLベスト4に進出。コロナ禍や過密日程による相手チームの選手が揃わなかったことを含めても、トッテナム、アトレティコ・マドリードを撃破したことはチームの地力の強さを証明しているだろう。リーグ戦でもバイエルン相手にもほぼ互角の勝負をここ数年見せるなど選手、戦術のクオリティは世界トップレベルだ。
今シーズンは大エースのヴェルナーがチェルシーに移籍してしまうも、チャンピオンズリーグではPSG、マンチェスターUと同居したグループステージを逆転突破。世界を代表するビッグクラブ相手にも1勝1敗ともはやビッグクラブと言わざるをえない。
代表的な選手
・ティモ・ヴェルナー(チェルシー)
・ヨシュア・キミッヒ(バイエルン)
・ザビツァー(RBライプツィヒ)
・ウパメカノ(RBライプツィヒ)
レッドブル・ザルツブルク
ここが全ての始まりのクラブ。レッドブルが誕生した地でもあり、レッドブルグループの躍進が始まったのもこのチームからだ。2005年に前身であるSVザルツブルクがレッドブルグループに買収され、そこから少しの年月がたち、オーストリアリーグ6連覇を含む国内タイトル10冠を達成した。
このチームにはレッドブルグループが目をつけた世界の有望な若手選手が集まり、その後レッドブルグループのトップチームであるRBライプツィヒに移籍するか、外部に多額の移籍金とともに移籍するかのキャリアを築く。
レッドブル・ザルツブルクのアカデミーの正面玄関には”Enter the next level“と書かれており、育成に力を注いでいるクラブであることがわかる.
代表的な選手
・ハーランド(ドルトムント)
・南野拓実(サウサンプトン)
・ナビケイタ(リヴァプール)
・サディオ・マネ(リヴァプール)
レッドブル・ニューヨーク
こちらはところ変わってアメリカニューヨークにあるクラブ。MLBイースタンリーグに参戦しており、マンチェスターシティのアメリカ支店でもあるニューヨーク・シティをしのぎを削っている。いまだに国内リーグ優勝は達成できていないものの、これからが楽しみなクラブである。
新しいクラブであるため、ティエラ・アンリなどのレジェンドを招聘し、クラブの礎を作ろうと奮闘している。」
ザルツブルクがライプツィヒへの育成機関としたら、レッドブル・ニューヨークはザルツブルクへの育成機関であろう。スポーツ大国アメリカのフレッシュかつ身体能力の高い若手を続々と排出するだろう。
成功の秘訣
レッドブルグループの成功の秘訣は各クラブが共通したメソッドを持っていることだ。チームのベースはラルフ・ランゲロック氏のアンチポゼッションから来ている。ボールを保持する時間を最小限にし、縦へ早いサッカーで敵を圧倒する。ランゲロックの生み出した精神的にも身体的にもタフな練習を実践することで、走れる、戦える選手を生み出し続けている。
ラルフ・ラングニックの哲学のもとで輝ける選手を育成しているので、ラルフ・ラングニック解説もぜひ観て欲しい
またグループの強みとして、どのようなキャリアを歩むかのプロジェクトがはっきりしている点が挙げられる。ヨーロッパに踏み出すための土台としてアフリカやブラジルなどから選手が集まってくる。アフリカ系の選手は特に強いコネクションを持っているので、マネやケイタといったアフリカの至宝がこのグループでプレーした。
トレーニング機材のグレードも圧倒的だ。レッドブルグループの生み出したシステム”The LPM system”はGPSの100倍の精度で、8つの基地局を介して6,000平方メートルのホール内のピッチ上のすべてのプレーヤーとボールの位置データを毎秒25回収集、プレーヤーの心拍数、呼吸数、皮膚温度までもシステムに組み込んでいる。
またレッドブルグループの選手は肉体だけでなく脳も鍛えられる。SoccerBot360というトレーニング機材では円の真ん中にプレーヤーは立ち、それを囲むプロジェクターにゴールが映される。その中でゴールにボールを放ち、その運動をしている間のプレーヤーの動きを分析する。
これらに器具に加え宇宙飛行士が訓練用に使用する反重力装置を怪我の回復用の機器に改造したものもある。超最先端のトレーニングマシンも躍進の秘訣だ。
続いてはレッドブルグループと日本との関わりについて