プレミアリーグで絶賛覚醒中の若武者フィル・フォーデン。ペップに「史上最高の逸材になれる」と言わしめた天才。彼がどのようなキャリアを歩んできたのか深掘りしていく。
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基本情報・成績
イングランド代表
ポジション:ウイング、インサイドハーフ
生年月日:2000年5月28日
成績
17-18:10試合0ゴール1アシスト
18-19:26試合7ゴール2アシスト
19-20:38試合8ゴール9アシスト
20-21:41試合14ゴール10アシスト(2021/4/9現在)
プレースタイル
高次元のテクニック
フォーデンのオフェンスに関してのあらゆる能力の高さには驚かされる。彼のジーニアスなプレイの数々は彼自身の傑出したスキルによる選択肢の多さから生まれている。視野が広いのはさることながら、難しい選択肢があってもそれを行える技術、プレーのキャンセル力、選択肢がない中で自ら選択肢を作れる技術と判断能力はずば抜けている。
まずは最近急激に向上しつつあるフィニッシュ精度だ。ディフェンスの背後に回って大外でクロスに飛び込むことはフォーデンの十八番のようなプレー。それに加え、ミドルシュートも強烈だ。華奢な体にも関わらず、ボールの芯を捉えるので無回転気味の高速シュートを放てる。ここ数試合は相手をシンプルなボールタッチでいなしてノールックでGKの逆をついたシュートで値千金のゴールを量産している。
またフォーデンを語る上で外せないドリブル能力。90分あたり約4回ものドリブルを施行し、成功率は72%とドリブラー並み。フォーデンは意外にも快速で相手を緩急をつけて抜いたり、裏街道、また抜きとさまざまなドリブルテクニックを発揮する。また縦への鋭い突破だけでなく、カットインも素晴らしい。左利きであるが、右方向へカットインすることも可能。プレーの選択肢の多さがフォーデンの手をつけられない所以だ。突破するドリブルだけでなくキープするドリブル、狭いエリアでのドリブルも最終手段として持っているので、もはや手のつけようがない。
プレーの引き出しの多さ
下はフォーデンのヒートマップを示したものだ。

フォーデンのヒートマップを見るとわかるように利き足と反対である右サイドにもためらいなく侵入できている。また左サイドはフォーデンがサイドバックやウイングと多く連携していることで濃くなっている。左SBとのワンツーなどはダビド・シルバを彷彿とさせる。昨季のリヴァプール戦も見事なデブルイネとのワンツーで見事なゴールを決めていた。若手選手としては考えられないほどフォーデンのプレーは成熟しており、オフ・ザ・ボールにおいても引き出しが多い。彼が試合を通して活躍し続けられる要因にオフ・ザ・ボールの巧みさが挙げられる。
また守備も決して怠らない。90分間プレスをかけ続けるタフさも兼ね備えており、戦術理解度も非常に高く守備時のタスクを正確にこなす。ペップも「彼は華奢だが、ファイターだ」と語っており、ハードワークを怠らない。本人も自信を努力家であると語っており、彼の献身性のルーツはひたむきな性格からきているのかもしれない。
+αのフォーデン録 〜PSG戦での躍動〜
フォーデンが若手の中でずば抜けている点の一つとして挙げられるものは試合中の修正力だ。先日のチャンピオンズリーグの準決勝のパリ・サンジェルマン戦の1stレグの前半、マンチェスターシティは完全に受け身となってしまい劣勢を強いられた。フォーデンも試合から完全に消えてしまい、前半のほとんどはボールに絡めないなどと、マルキーニョスを中心とするPSGの強固な守備に苦戦した。
しかしフォーデンは後半に入り、自身のランニングを見事に修正。外側からのランニングだけでなく内側のランニングを増やすことでPSGの中盤にズレを生じさせる。PSGの狭い2ラインの攻略のために、敵を釣りサイドバックのジンチェンコ、カンセロらの攻撃のためのスペースを作ることで攻撃を促進させた。
後半も中盤に差し掛かるとフォーデンは自身の居場所をセンターフォワード的な位置に設定することでマンチェスターシティの攻撃もよりスムーズに。密集地帯の攻略はフォーデンの得意分野でセンターの位置から左右両方に流れ、フィニッシュまでを演出した。そして今度はセンターフォワードからサイドに流れることで、自身の得意なドリブルのかたちに持ち込み、決めれば伝説といった決定的なシーンをドリブルで見事に創り出した。
前半と打って代わってみせたプレーはフォーデンの修正力の高さ、サッカーIQの高さを見事に示すものだった。
次ページはフォーデンのピッチ外での事件簿、ドラマのような経歴について