21-22シーズンのラ・リーガ第4節レアルマドリード対セルタの一戦のマッチレビューです。レアル・マドリードは対セルタ戦ではしばらく負けていません。ここ9試合では7勝2分けと圧倒的な相性の良さを誇ります。得点力不足に悩むセルタと得点力はあるも失点数の多さが目立つレアル・マドリードの試合を振り返ります。
あらすじ
ミリトン、ベンゼマ、バルベルデ、カゼミロがインターナショナルウィークの代表で酷使された状態で迎えたこの試合。クロースは怪我、ベイルは練習中に怪我、アラバも筋肉系、ヨビッチは胃腸炎で離脱ということで少し苦しい台所事情で試合を迎えた。
4-3-3のレアル・マドリードに対してダイヤモンド型の4-4-2でガンガンハイプレスをかけてきたセルタ。前半3分にまんまとプレスにハマり、ミスもありながらあっさりと失点してしまう。その後はヴィニシウスを起点にアンチェロッティ政権らしいダイナミックな攻めを展開。代表帰りのはずのベンゼマが躍動し、前半のうちに追いつく。
失点後は徐々にインテシティも上げていったマドリーだが、前半はDFラインを中心に集中力を欠いたミスが多く、何度もセルタの推進力あふれるカウンターを喰らう。サンティ・ミナ、アスパス、デニス・スアレス、シェルビの攻撃陣が連動したプレスと、素早いカウンターでマドリーを圧倒し勝ち越しに成功。1-2とビハインドを負った状態で試合を折り返す。
後半開始早々、ベンゼマの美しいヘディングで追いつくと、絶好調ヴィニシウスが逆転弾。前半に見せた不甲斐ないビルドアップもモドリッチを中心に修正し、マドリーは新加入のカマヴィンガ弾で突き放す。さらにヴィニシウスの敵を嘲笑うかのようなPK奪取でベンゼマのハットトリックをお膳立て。
改修+有観客のベルナベウのこけら落としを圧巻のゴールラッシュで花を添えた。
守備面の改善はいつになるのか?チームとしての成熟
前節のベティス戦終了後にアンチェロッティ監督は「前半のインテンシティは足りなかった」とコメントしており、守備は今日はどうなのかなと思った中で早々に失点したことに驚きました。けれどもインターナショナルマッチウィーク明けで1日しか全体練習を行えなかったとのことなので、守備構築はやはりまだまだ時間がかかりそうです。
この試合の後にアンチェロッティ監督はアラバとメンディといった主力選手不在という点を挙げつつも「ボール非保持時、ディフェンス面での問題を来たるゲームまでに解決する必要がある」と述べています。
ここまでのラ・リーガ数試合でシステマチックな前線からのプレスはあまり見られていません。バルベルデやカゼミロらのネガティブトランジションへの切り替えの速さでなんとかしてるパターンの方が多いです。欧州コンペティションではヴィニシウスらの若手がどれだけ守備で強度を発揮できるかが鍵となりますね。
そしてナチョが前で潰しに行った時に背後をカバーしに行く選手がいない問題が今シーズンは顕著になってます。フェルラン・メンディの存在がここで効いてくるなとも感じます。広大なスペースを脚力でなんとかするのは流石にミゲルにはできません。今節の2失点目もナチョが前から潰しに行った時の裏が簡単に使われてしまいました。ナチョもあの場面、前がかりになってしまわざるを得ずの結果なのでその場面を誘発しないような前線からのプレスシステムをシーズン通して育まなければならないですね。
ヴィニシウス、ベンゼマの両刀
昨シーズンもレアル・マドリードの試合を追っている方々には共感してもらえると思うのですが今シーズンのレアル・マドリードは昨季より観ていてストレスが少ないです。なぜなら今のマドリーの攻撃力なら十分に逆転可能だからです。今シーズンは1試合平均3点以上奪っており、前半に1点ビハインドくらいなら頭を抱えないファンは多いでしょう。
今シーズンの攻撃を牽引しているのはやはりベンゼマとヴィニシウス。両者得点という目に見える部分以外の貢献度も高く、今は替えの効かない存在です。ベンゼマとヴィニシウスの連携はどんどん向上しており、互いにアシストをつけあってます。
ヴィニシウスの決定力の向上はマドリディスタの夢であり、それが現実となった今ウハウハですね。エンバペが来なくても悲観的にならずに済んでいるのはヴィニシウスのおかげです。開幕4試合4得点、なおかつまだ伸びしろ盛りだくさんの21歳。19-20シーズンは伸び悩んだものの、昨シーズンと今シーズンここまではマドリディスタの精神安定剤として立派な活躍を見せています。
ベンゼマは言わずもがな難しいシュートを見事に決めてくれます。ミゲルのクロスも本当に精度が良かったのですが、CBの背後をとりファーに刺したヘディングは見事です。よくロナウドとクロスする形でCBを翻弄していたベンゼマですが、単独でも崩せてしまうのは頼もしすぎます!今シーズンここまで4試合5ゴール4アシストと宇宙人です。
アザールが徐々にコンディションを取り戻しつつあるのは嬉しいです。ベティス戦のあと僕はアザールのプレーが消極的だと批判してしまいましたが、今日は単独でも突破してチャンスを作ってやるという気概がとても感じられました。
アザールはマドリー来てから、独善的なプレーは選択しなくなってしまったんだな😞
厳しくてもフィニッシュまで最終的に強引に持っていくところがワールドクラスなのに、ベンゼマをお膳立てするプレーを優先してる気がする— イルッチョ (@soccerdolphine) August 28, 2021
インターナショナルマッチウィークでトップ・オブ・トップの選手として自覚や自信を掴んできたのかもしれません!次戦のアザールが楽しみです。
マドリーの個人の修正力はさすが!
今週のマドリーを見て再確認できたのが「修正力がえぐい」ということです。ビルドアップで失点して以降のモドリッチの立ち振る舞いはやはりさすが。ビルドアップのほとんどはモドリッチを経由するようになり、カゼミロはモドリッチより前のポジションなどで衛星的に動くようになりました。この個人の修正でビルドアップのミスはかなり減りました。
ミゲルも失点以降は相手に囲まれ切る前に、高精度の左足で逆サイドに展開していました。キック一発でサイドチェンジできるというのは若手にしてはメンタルがえぐいなと感じました。
またダイヤモンド4-4-2型の弱点を突くかのようにハーフスペースを匂わせながら、外に展開してスライドの遅れを誘発するマドリーのクオリティはさすがです。またミリトン、モドリッチ中心の相手SB裏を狙ったロングフィードも刺さりに刺さっていました。4-4-2の弱点を見事に突く個人戦術の高さはさすがです。
「これはマドリーの選手がスペイン離れてから大活躍できるわけだ」と改めて感じさせられましたね。
今週のニュース
・UEFA会長がペレス、ラポルタ、アニエッリを「無能だ」という強気の発言
・それにアンチェロッティが怒る
・カマヴィンガの記念すべきデビュー戦で初ゴール。18歳306日での初ゴールはレアル・マドリード史上2番目の若さ。ミスは多かったもののスキルで観客を魅了
・久方ぶりのベルナベウ
・倉敷さんが解説で言っていた「グティのミスタードーナッツ」「ジダンのカップヌードル」のCMは初耳
CLで勝てるのか?
ラ・リーガ制覇はもちろんのこと、個人的に心配なのはチャンピオンズリーグです。昨シーズンに引き続きプレミアリーグも追っているのですが、プレミアリーグの強度、チームとしての完成度はシーズン序盤とは思えません。
ファンダイクが帰ってきたリヴァプールは昨季対戦したものとは全くの別物です。チェルシー、マンチェスター・シティの戦力、戦術は群を抜いています。赤い悪魔も今シーズンはさらにノリに乗ったチームとなるでしょう。
マドリーはただでさえ監督交代で地盤が固まっていないのに、成熟した彼らと戦うのはあまりにも無謀。昨季露呈したチームとしての完成度の差を今シーズンもまざまざと見せつけられてしまう可能性は非常に高いです。
「プランBを準備する」「プレスのシステムを構築する」と言った命題をまた突き付けれているように思います。次はインテル戦。昨季のコンテのサッカーを踏襲したチームにどれだけレアルマドリードの攻撃力が発揮されるのかドキドキですね、、ちなみに友人のインテルファンの子曰く、J・コレアとジェコのフィットぶりが予想以上でルカク不在は気にならないようです。