レアル・マドリードでの評価
苦しいマドリー時代
ヨビッチに対するマドリディスタの評価は決して高くなく、むしろ厳しい目を向けられていただろう。しかし、それと同時にマドリディスタはみなヨビッチに十分なプレー時間が与えられていなかったことも理解している。
特に昨季からベンゼマがチームに不可欠な働きを見せており、ベンゼマの代役をヨビッチに任せるのはプレースタイル的にも厳しいものがある。今のマドリーはベンゼマのチャンスメイク能力にも依存しており、ベンゼマの代役をこなせる選手は世界的に見てもほぼいないだろう。
かといってジダンがベンゼマとヨビッチの共存をさせるようなシステムをあまり用いたがらない。ヨビッチは試合出場数の割には得点が圧倒的に少ないと批判に晒されるが、試合に出てもヨビッチの出場時間は3分から長くても10分程度が多かった。マドリーという特殊なクラブでこれだけで結果を出せと言われるのも少し厳しいものがある。加えて今シーズンは本当にチームにクライシスが多すぎて、ヨビッチを起用する暇すら与えられなかった。
話を少し昨シーズンに戻してみよう。昨シーズンはかなり微妙なオフサイドに泣かされたヨビッチを何度も見てきた。またポストやバーに阻まれたり、あと数cmズレていればゴールといった場面も非常に多い。「それを決めるのがストライカー」と言われるのはしょうがないが、昨季はあまりにもヨビッチには不運な場面が多すぎたように思う。
ヨビッチはベンゼマ級の得点力!?
批判の多いヨビッチだが面白いデータがある。昨シーズンのヨビッチは試合出場数の割には出場時間が非常に短い。そこでヨビッチの得点数2を試合数ではなく出場時間で割りプレータイムをベンゼマと同じ3000分以上に引き伸ばしてみた。するとなんとヨビッチの成績は21ゴールとベンゼマに並ぶ数字になるのだ。ベンゼマはゴール以外の貢献度が非常に高いがヨビッチもプレー時間を与えれば、得点王争いに絡める成績になっていたかもしれない。
なんとかマドリーで活躍しようとする気持ちは実り始め
ヨビッチはここまでレアル・マドリードで満足する活躍はできてないがマドリーで成功したいという気持ちはなんとなく伝わってくる。というのもマドリーへフランクフルトから復帰した際にはコミュニケーション問題を早く解決しようとスペイン語を一生懸命勉強していると報道されていたからだ。
そして今シーズンはほとんど出場機会はなかったが、レアル・ソシエダ戦でベンゼマの負傷交代で思わぬ出場機会を得ることができた。そこで前半17分から途中出場し、1ゴール1アシストでMOMの活躍を見せた。ゴールを決めた際にはマドリーに来てからは喜び方が控えめだったヨビッチだったが、この時は気持ちを爆発させていた。
続くチャンピオンズリーグのグループ首位突破をかけたインテルとの大一番でも上々のパフォーマンスを見せており、少しずつマドリーでも居場所を見つけてきた印象だ。
終わりに
正直いって僕はヨビッチがかなり好きです。彼のプレースタイルには魅力を感じるし、昨年のスーペルコパの決勝で何度も単独でアトレティコマドリーのゴールに迫っていたヨビッチの姿が忘れられないし、ポテンシャルは本物であると証明していたと思います。
シーズン終盤、ヨビッチが試合中終始苦しそうな顔をしてプレーしていたのは得点を決められない焦りや自信の喪失からかもしれません。
もっとジダンがヨビッチを信用していたら、あのシュートが右にずれていたらとたらればの話をしたくなってしまうほど期待をしたくなる選手でもあります。
参考文献