今回は来るリヴァプール戦においてリヴァプールの戦術や現在のセンターバック事情についてマドリディスタにもわかりやすくお伝えしよう。
直近のフォーメーション
リヴァプールの現在のスタートのフォーメーションは次のような形だ。

主力センターバックのファンダイクとジョーゴメスが今季絶望のため、何事もなければこのシステムで戦うだろう。強力3トップは今も健在。昨シーズンのメンバーを残しつつも、ティアゴ・アルカンタラやセンターバック陣があまり見慣れない布陣かもしれない。
戦術
リヴァプールの基本的な攻撃パターンはカウンターとハイプレスだ。そしてこの2つの質の高さがリヴァプールを別次元の強さの要因だ。
まずはチャンピオンズリーグで必須なプレスについて。リヴァプールの十八番のゲーゲンプレスのメカニズムとファーストプレスの形について説明する。
ゲーゲンプレスのお勉強(知ってる方は飛ばして)
ゲーゲンプレスはクロップが世界のサッカーのトレンドにした新たな戦術だ。名前の通りプレス戦術で守備に関するもの。
ゲーゲンプレスはボールを奪われた際が真髄だ。ボールを奪われた瞬間に、奪われたチームは敵のボールホルダーを囲むように強烈なプレス(プレッシャー)をかける。サッカーのボールをとる基本は相手より人数をかけること、これを取られた瞬間に行うのである。ボールを奪われた瞬間にすぐにボールを奪い返す。
これを相手陣内で行えば、ボールを奪って相手陣形が整う前にゴールまでボールを運べる。最もゴールしやすいのは相手がディフェンスを固める前に突く、ショートカウンターだ。ゲーゲンプレスは言わば攻撃的な守備なのである。詳しくは以下のリンクからも学ぶことができる。

そしてその戦術を極めているのがリヴァプールだ。何年もそのスタイルを貫いている。ちなみにゲーゲンプレス自体を生み出したのはクロップではなくラルフ・ラングニックという人物だ。下のリンクから興味を持った方は見てほしい。
ファーストプレスの形
リヴァプールのファーストプレスの形は少しだけ特殊。相手のディフェンスラインがボールを回す時、両ウイングはサイドバックを切りながらプレスをかける。相手のセンターバックはたまらず、中央に当てるかゴールキーパーに下げるしかない。ゴールキーパーに下げても、結局状況は変わらないので中央の見方にショートパスを繋ぐ。


しかし中央はリヴァプールの狩場でもあるのだ。先程説明したゲーゲンプレスは中盤に相手をわざと誘導することでも発動することができる。ライプツィヒというチームもゲーゲンプレスを使用するがこちらはさらにゲーゲンプレス発動にこだわっており、あえて相手にボールを渡すようなロングボールを蹴り込んだり、極端に真ん中に密集したフォーメーションを組んだりもする。それだけゲーゲンプレスという戦術は強力なのである。
リヴァプールが不調だった理由
ファンダイク不在の攻守への影響
バロンドールをメッシ、ロナウド争った男の不在はもちろんチームに多大な影響を与える。きっと単純にファンダイクがいたら未然に失点を防げていた。
ファンダイク不在は守備だけでなく攻撃にも影響を与える。両サイドバックはファンダイク不在であれば背後のスペースを普段より気にしなければならなくなる。そうすることでリヴァプールの大刀である両サイドバックの攻撃力は低下。
攻撃における変化はこれだけではない。ファンダイクの後方からのボールの配球には素晴らしいものがあった。マネやサラーへ高精度のロングボールを送る。快速ウイングへのロングパスという飛び道具が失われてしまっていたのだ。
アーノルド、3トップの不調
またリヴァプールが長らくトンネルに入っていた原因として3トップとアレクサンダー・アーノルドが本調子でなかったことが挙げられる。
マネもサラーも決定機を外す場面が昨季より目立っていた(チームの調子のせいで目立っていただけかもしれないが、、)。バーンリー戦以降の敗戦は主に得点力不足によるもの。よくも悪くもリヴァプールの最終的な攻撃は3トップなのだ。
以下のグラフはプレミアリーグの各クラブが決めたゴールのポジションごとの内訳を見るとmリヴァプールはメガクラブと比べてもフォワードが獲得したゴール数の割合が非常に高いことがわかる。

アレクサンダー・アーノルドもアシスト数において昨季より少し心許ない。クロスの精度もイマイチ上がりきらなかった時期が長かった。昨季終了時には13を記録したアシスト数も、今シーズンここまででは4と圧倒的に減少している。
中盤の強度低下
ファビーニョとヘンダーソンが中盤で起用できなかった時期はリヴァプールにとって最も苦しい時期でもあった。
ヘンダーソンはチームの精神的支柱で、ハイプレスをかけるにあたって彼ほど気が利く人物は地球にはいないかもしれない。1番危険なところを常に先回りして潰す。そして攻撃的な守備ができるようなポジショニング。何より欠かせないのは、チームの鼓舞だ。ヘンダーソンがいるといないとでは、強度がまるで違う。
ファビーニョはアンカーで最も生きる選手だった。ハイレベルにセンターバックも勤めていたが、中盤から彼を失うデメリットは明らかに大きすぎた。広範囲をカバーし、相手の攻撃の中心を潰すことに非常に長けている。さらには高身長のためロングボールの跳ね返し役にもなれる。
もはや絶不調のリバプールではない
守備陣の安定これに尽きる
リヴァプールの守備陣はここに来て、安定感を見せ始めた。カバクとN・フェリップスのコンビが誕生し、ここ3試合無失点に抑えている。センターバックが固定化できたことはリヴァプールにとって大きなプラスだ。センターバックの安定によって、ファビーニョが本来のポジションであるアンカーを務めることができるので相乗効果でティアゴも攻撃にパワーを大きく振り込められる。
やはりファビーニョが中盤で固定化できたことは大きく、経験の浅いセンターバック二人にとって世界屈指のアンカーのファビーニョが強力なアタッカーのゲート役として深く居座っていることは安心につながるだろう。先日のアーセナル戦も見事、ノルウェーの至宝であるウーデゴールをシャットアウトしてみせた。
今やリヴァプールのセンターバック陣の負傷問題は解決されつつある。
ジョタの復帰
リヴァプールの3トップに食い込める存在が今シーズンに現れた。それがディエゴ・ジョタだ。
ジョタはスペースを一瞬で見つけボックス内に走り込むのが非常に上手い選手で、決定力も抜群に高い。さらには守備にも奮闘できる計算が立つ選手だ。味方との連携もすでにスムーズでリヴァプールに多くの選択肢をもたらすことができる選手だ。対戦するチームはジョタを捕まえるのに非常に苦しむこととなるだろう。
またコーチ曰く、ジョタは非常に頭の回転が早い選手のようで、スペースに走り込む技術も頭の良さに起因しているという。とにかくジョタの存在はリヴァプールにとっては大きく、ジョーカーとしてもスターティングメンバーとしても相手に脅威を与えられる。
怪我から復帰しても好調でポルトガル代表でも得点を決め、ウルヴス戦で決勝弾、アーセナル戦で2ゴールと絶好調ぶりを見せつけている。
底力は全くあなどれない
ここまでリヴァプールの弱点や不調の原因について解説していたが、リヴァプールの見せる底力については全く侮れない。ライプツィヒ戦においてはリーグ戦では最近見せてなかった磐石の戦いぶりを見せた。ここ数シーズンでのリヴァプールのチャンピオンズリーグでの戦い方を見ると、ここぞというときに全力を持っていけるチームである。
精神面においても先のライプツィヒ戦、ウルヴス戦での勝利はリヴァプールに欠けていたアグレッシヴさを取り戻すきっかけになったことだろう。
そして「トップ4入りは難しい」とクロップが挙げていたようにリヴァプールの照準がプレミアリーグではないことは明らかだ。となるとリヴァプールが照準を合わせるのは自ずとチャンピオンズリーグに絞られるだろう。ターケットを定めたリヴァプールは不気味だ。アンフィールドの奇跡、イスタンブールの奇跡と数々の奇跡を狙って起こしたのだ。
そして何よりもイングランドの名門は白い巨人へのリベンジに燃えている。国際舞台で同じ相手に負けることはリヴァプールの誇り、歴史が許さない。レアル・マドリードに対するモチベーションは他の対戦相手よりも高いであろう。
リヴァプールの持つ独特の一体感は、何かを起こすに違いない。
終わりに
復活の兆しを見せつつあるリヴァプール。昨シーズンの中心メンバーに変わる新戦力たちの覚醒が始まりつつあります。ファンダイク、マティプ、ヘンダーソン、ジョー・ゴメスらが戻ったときにどれだけリヴァプールが強くなるのかを考えると、とても恐ろしいですね。
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