CLのラウンド16の抽選でレアルファンはあまり望まないカードになったのではないか?なぜなら相手は欧州屈指の攻撃力を持ち、新興勢力であるアタランタは不気味でしょうがない。そんなアタランタについてマドリディスタの視点で深掘りしていく。
アタランタの基本情報
創立・地理
1907年に設立された8000人のベルガモという小さな町のクラブチームがアタランタである。昨シーズンはクラブ史上初となるCLベスト8を達成した。イタリアの地方クラブであるため、基本的にはメガクラブに選手を引き抜かれてしまうが、それでも勝利を重ねる姿は誰もが応援したくなるだろう。
アタランタの成長
2016年にガスペリーニ監督が就任して以降、成長を続け昨季は円熟期を迎え、今シーズンは昨季の飛躍からのガスペリーニ政権5年目を迎えた。
19-20シーズンはリーグ戦34試合で98得点を記録し、欧州にその名を轟かせた。ついにガスペリーニ監督の理想とするサッカーをコンスタントに表現できるようになり、結果を出せるようになってきた。その象徴として、クラブ史上初のCLベスト4、そしてパリ・サンジェルマンを90分間追い詰め、国外のメガクラブ相手でも、互角以上に渡り合えることを証明した。
アタランタの成長はとどまることを知らず、チャンピオンズリーグではレアル・マドリード相手に2戦合計1-4と完敗してしまうもセリエAではクラブ史上初の2位を記録。リーグ戦ではユベントス相手に1勝1分けと前大会王者であるユベントスに全く引けを取らない試合運びを見せた。
アタランタの戦術〜超攻撃的サッカーのエッセンス〜
マンツーマンディフェンス
ガスペリーニ監督のサッカーはマンツーマンディフェンスがベースとなっており、これが攻撃に非常に効果をもたらしている戦術となっている。現在においてマンツーマン・ディフェンスをとるチームは少なく、体感してみないとわからない怖さを孕んでいる。アタランタのとるマンツーマンディフェンスのエッセンスは以下の二つだ
・一対一は全力で(対人に強い選手を組み込む)
・ボールの近くにいる人がファーストディフェンスで、それ以外の選手はファーストディフェンスの状況(ボールが取れる、取れない等)をみて機械的に周りのマークにつく
これらの原則はマンツーマン・ディフェンスをやる上で最も重要であり、弱みになってしまう可能性も高い原則である。
一つ目の原則では、一対一で相手の能力が非常に高い場合、ディフェンスを剥がされ一気に大ピンチに陥ってしまうことがしばしばある。昨シーズンのCLグループステージのマンチェスター・C戦で5-0で敗れてしまったのは、完全にこれが原則で、あまりにシティ選手が上手だったことに起因する。
二つ目の原則ではマークのズレが生じやすいという悪い点がある。アタランタが得点が多く、失点が多いチームであるのは、こちらの原則が理由でもある。昨日のセリエAのローマ戦で先制点を取られたシーンでは明らかにマークのズレとボールウォッチャーになってムヒタリアンをフリーにしてしまっていた。
これら弱点はマンツーマンディフェンスにおいて必ずついて付き纏う課題であり、これらの弱点をどうするかでチームとしての完成度が現れる。アタランタの脅威的な点はまず守備陣の対人が非常に強いこと。そして、一つ目の原則「一対一は全力で」を90分間高い質で行えることにある。このような戦術が成り立っているのは日頃のトレーニングの賜物で、ガスペリーニ監督の元選手は口を揃えて「ゲームより練習の方がきつい」と語っている。
リスク度外視の攻撃

アタランタの基本フォーメーションは上図がベーシックなタイプである。
ビルドアップは主にデローンが状況を見てCBの間に降りたり脇に降りたりして行っており、選手が積極的に前を向き、くさびのパスを入れる。縦パスが多くリスクが高い攻撃でもある。それに加え、強力なのは右サイドの攻撃。CBのわきに降りたデローン、少し下がったイリシッチ、サイドに開くハテブールで三角形を形成し、崩すのが定番の形だ。

また相手陣内に侵入してからは3バックの一角のジムシティなどが後ろのケアを捨てて前進し、パスコースを作る。相手はなかなか自陣に攻めるアタランタからボールをうばえない。こちらもハイリスク。

攻守の切り替え、ルーズボールの回収はやはりレベルが高く、「攻めて回収して攻めて回収してまた攻める」というように波状攻撃を仕掛けて相手のディフェンスを破壊する。またミドルシュートという飛び道具を持つ選手も多く、プレーの選択肢の多さが破壊的な攻撃力を生み出す。
これらに加えアタランタの「試合終了まで点をとりに行く」というスピリットが我々他サポに恐れられる所以であり、並外れた攻撃力を生み出している。
続ページは選手編
続いてはアタランタ要注意選手たち!